「フレーミング/ネーミング」


ようやく屋外に出ても死人が出る心配のない気候になったので、この日のワークは外に出た。外に出てまず14人それぞれ歩いて行ける範囲内で気になる場所を探す。ある窓から見た景色、廊下の隅、柱の陰、どこでもいい。そして写真をとるときのように魅力を感じる場所と構図を見つけたら、そこに人がいる様子をイメージする。ひとりでも複数人でもかまわない。一旦集合して、各々の場所を全員でツアーするよう巡りながら実際写真を撮っていく。複数人が必要な場合は参加者の誰かを適当にキャスティングして、ここに、こういう感じで、という具合に想像した状況を立体化していく。今回写真はmimacul参加者で写真も手がける山羊昇さんに撮ってもらった。人数分撮れたらすぐにプリントする。できた写真を机に並べると、それぞれの風景を捉える距離の違い、人を登場人物としてまなざす視点、もう少しモチーフのように見ている視点、違いがよく見える。

いいちこのポスターをご存知だろうか。季節ごとの風景写真のどこかにいいちこのボトルがそっと写っていて、「iichiko」というロゴと短いキャッチコピーが入っているとてもシンプルだけれど、印象的なポスターである。その感じで、写真を構想した本人以外の参加者が写真を見て短い言葉を宛てて書いていく。もちろんこれはコマーシャルに使うのではないから、いいちこみたいにいい感じでなくてもいい。やってみるとわかるけれど、考え込むとなかなか出てこない。反射神経で言葉をパッと掴む。

最終的に本人は他者から宛てられた言葉を読み、いちばん良い、おもしろいと思ったものを選ぶ。なるほどと思えるもの、思いもよらないもの。他者のを考えるとき、一応思いついたけれどイマイチだなというものに誰かが絶妙な言葉を宛ていたりする。こういう他力本願は豊かだと思う。

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京都芸術センター Co-program カテゴリーC:共同実験「mimacul」(ミマカル) 文体と歩く半年間のワークショップドキュメントとその後のmimacul告知ページ

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